やれやれ・・・ 一生しょっぱい客でも相手にしててくれ

 コストがかかるシステムは、それによりどんな巨大な利益を得ることができても

プログラムの価値(3) - suikyojin’s diary

 君のところのシステムは賃貸住宅のように放っておいても勝手に利益を生んでくれるのかい?
 非常にうまく作られたWebサービスはそれに近いかもしれない。

 だが、何度も繰り返すようにほとんどの場合、利益を生むのは人の活動であってシステムではない。
 システムはその活動に必要不可欠と判断される場合においてのみ価値を持つ。

 そしてその価値は次善の代替手段の価値を超えることは無い


 システムの価値はその時点での他の代替案によって間接的に決まるので、新たな代替案によって「いつでも無価値になる可能性がある」。
 これはシステムがたとえ要件通りに完成したとしても、その稼働前に「コスト0で要求を満たせる代替案」が現れた場合、システムの価値は0以下になるという意味だ。*1 たとえ開発に1億円かけていたとしても だ。


 ああ 言われそうなので先に書いておくが、「それだけがんばって作ったものなら他のことにも使えるかもしれない」ってのは無しね。
 それ言い出したら「この世にあるものは、将来に生みうる利益を考えたら無限大の価値がある」ことになってしまうからね。


 直接的に利益を生む仕組みは、よりよい代替案があろうともその価値が減ることは無い。
 一月に10万を生む賃貸住宅は、100万を生む賃貸住宅をもったとしても10万を生むことには変わりない。
 そうでないものはすべて「負債」だ。
 

経済学でいうところの限界効用逓減

プログラムの価値(3) - suikyojin’s diary

 こう言ってくると思ったから「「価値を正しく対価」に反映させようともがくよりは」と書いたんだがな。
 逓減もクソも元々の価値すら決められないだろ。 100万円かけてつくったら100万円の価値があるとでも言うのか?
 価値の逓減分やらコストの追いつき具合やら、そんなもの他人と共通認識を作ることがどれだけ大変だと思ってるんだ?
 だいたいそのような考え方や行動がいったい何の役に立つんだ?
 

 なぜ「システムは負債」などと言うかわかるか?
 エンジニアにとって良い客とは「システムは負債だと思っている企業」のことだからだ。 そういう企業は、

  • 機能の追加に消極的でスコープを広げることを極端に嫌がる。 それどころか「機能の削除」を積極的に評価する。 
  • 開発時から、システムを引き取って運用するイメージを持っている。(稼働後の問い合わせが極端に少ない)
  • 「作らない」からスタートしているから、作らなければならない理由が明確になっている。つまりシステムの目的がはっきりしている。
  • システムに対してではなく、それに込められたアイデアに対して対価を払う。
  • 必要な時期に、必要なものを提供できる体制に対して対価を払う。(価値を持つのは一瞬だと知っている)


 エンジニアが「システムは負債」という考えに同調できないなら、上記のような特徴を持った企業とつきあうことはできないだろう。

*1:お金を払ってもらえるかどうかは別