プログラマーが人を雇う理由

 そこで、彼が人を1人雇った場合を考える。
 人を雇った場合、彼の半分の能力を持っていれば上出来である。半分、というのは、もともとの素質の面もあるし、オーナーか雇われかというモチベーションの違いもあるので概ね妥当だと思う。決してこの従業員がボンクラということではなく、どうしたってそうなるものだ。

なぜ優秀なプログラマは人を雇わないか: 人生を書き換える者すらいた。

この人はおそらく優秀なプログラマーなんだろう。


優秀なプログラマーは大抵、自分が今うまくやってることをだれかにやってもらおうとする。
だから、自分との能力の差が問題になってくる。

自分基準で考えれば誰を雇っても払った金に見合ってない!って思ってしまうはず。


独立した後で人を雇う時ってのは、わざわざ自分がやらなくていい事を誰かにやってもらいたいって思った時じゃないとダメだと思う。


作業のほとんどがルーチンになってて、ホントに誰でもできるようにしておいたから、あとはそれに従うだけで日々収益上がるよ!って状態。

そうなっていれば上がる収益の範囲内で誰かを雇えばいい。手間が減って利益が確保できて丸く収まる。


「明日食えればいいや」って場合は別として、プログラマーとしてビジネスを続けたいと思うなら、プログラミングのスキルを向上させる努力と同じくらい、自分がやってる事を誰でもできる仕事にする努力が必要なんじゃないかな。

トッププログラマーはどこに?

最近(前からも)共感することの多い達人プログラマーを目指してで気になったことがこのタイトル。

本ブログの記事に対して多くの皆さんからいただいた意見を総合すると、技術力のあるトッププログラマーにとって現状の日本のSI業界での仕事というのは、働き甲斐のない、魅力の少ない仕事として認識されているという残念な事実を思い知らされます。

エンタープライズ開発者が負け組として軽蔑される日本のSI業界って - 達人プログラマーを目指して

たしかにそういう認識だと感じるが、じゃぁ一体日本のトッププログラマーはどのどんな仕事に魅力を感じてるのだろう?

たとえばIPAの未踏で選ばれた人はトップと呼んでいいと思うが、彼らは今どこで何をしているのか、ネット上でも彼らの発言を目にすることはほとんどない。
ここではないどこかへ行ってしまったのだろうか…。


それとも。「SI業界を負け組として軽蔑」してる人達はトッププログラマーでは無いんじゃないだろうか?(ひがさんがトッププログラマーの一人であることに異論は無いですが)


おそらく後者だな。

3倍のパフォーマンスを発揮するプログラマの条件

今はSIerのビジネスモデルを変革するチャンスかも - 達人プログラマーを目指して

まさしくその通りだと思う。

SIのビジネスがあまりうまくいっていないように思われる現在は、まさに変化を起こすベストタイミングであろうと思います。

今はSIerのビジネスモデルを変革するチャンスかも - 達人プログラマーを目指して

未だに批判されまくってる多重下請け構造もすでに機能しなくなってきて久しいが、かといって元請けSIerの社内消化モデルで捌ききれる案件には限りがある。

大手が取りこぼさざるを得ない案件が出てきている今が一番いい時期なんじゃないだろうか。

竜馬を見習って下々のプログラマーがもっと積極的に上に意見を言っていけば、今のやり方を変えていくことができると思います。

今はSIerのビジネスモデルを変革するチャンスかも - 達人プログラマーを目指して

いやいやそれは違うでしょう。
坂本龍馬は積極的に上に意見を言って今のやり方を変えたんじゃない。

まず行動し、実績を重ねることで自分の意見が世の中に通る状況を作ったんでしょ。


何でもイイから自分の責任の範囲で改革を行って、成功事例を作ってそれを認めさせる。
小さく成功事例を作って、それを雪だるま式に大きくしていく以外に既存の構造を変える方法は無い。

SIerも顧客から一次請けで仕事をする機会があれば、今までのようにPGに一律低い単価を設定するのではなくて、ハイスキルの専門プログラマーに対して相応の単価を払ってもらうという努力をすることは可能でしょうか?

今はSIerのビジネスモデルを変革するチャンスかも - 達人プログラマーを目指して

SIerは顧客と人月契約なんてしない。顧客の予算内でシステムを構築して納品するのが仕事。
納期は3ヶ月後で1000万円ですって見積が通れば、それを1人でやろうが10人でやろうが自由。

なのでこの話は二次請けの立場でどう対価を要求するか?という話とする。


答えは「可能」。全然可能。
ただし。よくわからんプログラマーの知識に対する価値とか言うてるようじゃ全然無理。
顧客はそんなの求めてない。


顧客が求めるのはアウトプットだけ。
ソフトウェア部品などの成果物を提供する契約であれば話は簡単。3倍だろうが10倍だろうが好きに提示すればいい。
その仕事を3人でやってるのか10人でやってるのかなんて言う必要は無い。


常駐などのマンパワーだったら?アウトプットはなんだろう?それを顧客が納得いく形でどう提示するかが重要。
ここから本題

いくら優秀で実績があっても他のプログラマーの3倍も単価を取ると言ったらなかなか理解されにくいでしょう。

今はSIerのビジネスモデルを変革するチャンスかも - 達人プログラマーを目指して

そんなことはない。3人分以上のパフォーマンスを発揮した実績さえあれば十分。
やり方はすごく簡単


「4人月で受注して4人で客先行く。 そして自分以外の3人に何もさせない。(むしろ帰らせる)」


コレでバッチリ!
次の発注からは3倍の単価で通ります。*1


いかがでしょう?まずは2人月くらいからやってみては?

*1:当方では倍の単価までしか確認しておりません。 3倍で出す場合は自己責任でお願いします

搾取構造に対しての認識のずれ

まずね、嘘はイカンよ。 末尾から引用するけど、

このように、偽装派遣は「賃金搾取」の為の仕組みに利用されるので、違法なのです。

http://ameblo.jp/syusoretujitu/entry-10720824780.html

合意していないリスクまで負わされるのがまずいのであって、貧乏人のひがみみたいな「搾取」が理由ではありません。

請負契約ではYは「売上台数」に責任を負う。
ただしそれは「自分たちのやり方でやる」からこそ負える責任であって、X社の指示の下では売上台数の責任を負えない。
にもかかわらず! と言うのが偽装派遣偽装請負、偽装委託)の問題。


そもそも、君が指摘したいのは多重派遣の問題なんじゃない?


多重派遣は搾取構造になりうる。 そしてそれを回避するために「偽装請負(偽装委託)」の形式を取ることが多い。
だが、偽装請負は多重派遣に利用されるから違法なのではない。 ブログのタイトルに「法律家を目指す」と書くならそこはきちんと区別すべきだろ。


んでもって、搾取と正当な対価の区別が付いていない。 というか付けようともしていない。

上記の図のようなメンドクサイ仕組みを作らなくても、携帯会社Xが派遣会社Yに直接仕事を依頼すれば済む話ですよね。なのになぜ、このような複雑な仕組みを作るのか。

http://ameblo.jp/syusoretujitu/entry-10720824780.html

君は「人を調達するコストとリスク」をどの程度だと思ってるの?
人は呼んだら必ず来るのか? 契約したら必ず遂行してくれるのか? そのリスクは誰が引き受けてるんだ?
取引開始に関するコストやリスクは分かってる? 個人間で中古品をやりとりするのとはワケが違うぞ。
報酬の支払も大変だ。

君はこれらのことを無料でやりたいか?


さらにリソースをプールする業者には空白期間のコストも発生する。

君は一人人材派遣会社で、君のエンジニア単価が80万/月だとしよう。 君にとっての原価だ。
発注元の要求は「今後10年、オレが呼んだ時には必ず来い。 帰れと言ったら帰れ」だ。
君は原価80万/月の見積を出すか? その仕事をするせいで発生する空白時間を勘案して、提示額を考えるだろ?
例を出そう。 1年のうち10ヶ月間仕事があると見込めるが、それに備えることで2ヶ月間は仕事がない期間が発生するとするなら、96万以上の見積を出さなければ「原価割れ」だ。(他の仕事を入れたら要求に応えられなくなる と考える)


これはエンジニアがフリーで独立したときに陥る罠でもある。


要は賃貸マンションみたいなもんだ。
空室率を考えずに家賃だけ見ればぼろ儲けに見えるだろう。 だがしかし、実際はそうではない。


自分の状況が悪い原因を他人の悪意に求める前に、もうすこし突っ込んで調べ、考えるべきではないか?

人月は本当に悪か?

どうも人月だとか仕事の価値だとかの話になると、とたんに客が置いてけぼりになる。

客が「準委任契約」を望むなら人月で見積もるでしょ 当然。 そもそもだれを客としてみているの?

とはいえ、この方法でも相場の単価というものは越えられない。人工商売としての請求単価の壁は、どうやっても越えられないわけですよ。どんなに優秀であっても1人は1人。人間1人以上の価値はつかない。「1人が働く」という行為に対しての対価には限界がある。

人工商売を越えろ - (旧姓)タケルンバ卿日記避難所

なぜこう考える人が多いのかが不思議でしょうがない。
なんせ「その労働がいくらの価値を生むのか」とは全く無関係に設定することができるから、こちらの言い値で提供できるじゃん。


相場を越えられない云々は単なる派遣元(エンジニア自身も含め)の営業力が無いだけの話。
エンジニア自体をコモディティであるかのように扱えば、そりゃ市況価格相当でしか販売できないに決まってる。

問題は差異がある商品をひとまとめにして売る事であって、単価の計算方法が人月なのかそうでないのかではない。


それはさておき、スキルがあるエンジニアはそうでないエンジニアよりも多く支払ってもらえるか?というとそうではない現実がある。
なぜ? やつら(客)は分かってないから


確かにそうだろうが、それは誰が悪いのか? 分からない客が悪いのか?
それとも派遣元の後ろに隠れて「アイツが悪いコイツが悪い」言うてるだけのエンジニアか?


実際、一般に「できる人」と呼ばれているエンジニアはフリーだろうがお抱えだろうが自分(や部下)のスキルセットを商品特性として把握して、自分のマーケットに対してのポジショニングを適切に設定している。
人月にしろ成果物にしろ上記を踏まえて価格設定をして、納得してもらった上で購入いただいてる。


そういうことができずに仲介業者だけを「客」と見て受け身な商売しているのなら、満足のいかない現状は当然のことだ。


業界が悪いだの仲介がピンハネしてるだのと文句を言ってる暇があったら、自分の客はだれか?自分のスキルは客のどういうシチュエーションに有効なのか一度棚卸ししてみてはどうだろうか?