雇用の流動性っていったいなんだ?

これに対し、いまやブログでは「解雇規制」「雇用流動性」といったキーワードが普通に飛びかうようになっている。賛成・反対の立場はさまざまでも、みんな自分の考えを率直に書いていて、タブーもない。これがブログのいいところだ。

もし解雇規制がなくなった場合、どのくらい解雇が起きるのか? - モジログ

 「雇用流動性」っていったい誰の造語だ?
 労働者がある企業の「雇用」を別の企業の「雇用」と交換できるの? 「雇用される権利」を売り買いできるの?
 もしそうなら「解雇規制」など雇用流動性に何の関係もないし、残念なことにそんな市場は日本に存在しない。

 まぁおそらく「中途正社員としての就職しやすさ」を難しく書いてみているだけだろう。

だから、解雇規制がなくなったときに賃下げ・解雇されるのは、現状で給料に見合った貢献をしていないと見なされる人だけだ。その人たちにしても、多かれ少なかれ職場への不満はあるだろうし、給料が安くなってもいいからもっとやりがいのある仕事をしたいと思っているかもしれない。つまり、絶対的な能力不足ではなく、単に会社とミスマッチである場合もかなりあるはずだ。それでも、現状では雇用流動性が低いために転職が難しく、いまの会社にしがみついてしまうわけだ。

終身雇用という考え方が間違っているのではなく、終身雇用を強制することが間違っている - モジログ

 正社員に比べて規制のほとんど無い派遣社員でも需要と供給のミスマッチが起きているというのに、なんということを言うのだろう。

 さらに、「給料に見合った貢献」をしているかどうか評価できる経営者がどれだけ居るだろうか?*1
 それができないからこその「新卒主義」で「年功序列」だというのに、雇用規制がなくなったからといって瞬時に評価できるようになるわけではない。

 当然。そういう判断ができない企業はできる企業によって淘汰されるのだろうが、淘汰が進むまでは「非効率な労働市場」が続くわけだ。
 社会的に見るなら労働力商品の劣化は教育等に依存するが、個人的に見れば生ものと一緒で、使用しなければ経年劣化する商品だから、商品としてのピークが「労働市場が非効率な時期」に当たってしまった人はご愁傷様ということになるのだろうか。

 もう一発ロスジェネを作る気なのだろうか。(それもアリかもしれないが…)


 まずは政策としてのワークシェアリングによって雇用機会を創出した上で、規制の緩和に着手すべきだろう。

*1:たとえば経営者は3倍の生産性の人間より、3倍の時間働く人間を好む