負債とコスト

運用コストがかかるシステムは、「負債」という定義らしい。すなわち、この定義に従うと、会社も政府や自治体も、それどころか人間自身も「負債」ということになる。

人間自身も「負債」であり、「無いほうがいい物」と言い切ってしまうのであれば、当然、「プログラマーは本質的に経済的価値をもつ存在ではない」ということになるだろう。

2009-03-08

 当たり前の事。
 人であろうが何であろうが、現時点でも将来的にでも直接付加価値を生まず、コストだけがかかるのであれば「負債」*1であり企業にとって「無いほうがいい物」に決まってる。
 同じ活動ができるなら100人より10人のほうが良い。

 政府だろうが自治体だろうが、我々は「それ」が欲しいワケじゃない。
 行政を行ってくれるなら「政府」だろうが「貴族」だろうが「効率の良い仕組み」が欲しいだけだ。


 「独自的過ぎる言葉の定義」とはどの部分に対してだろう?
 プログラムという言葉の定義の中には「利益を生む」という意味が含まれているのか?(そりゃ初耳だ)
 プログラムがプログラムであるというだけでid:suikyojinは金を払うのか?

ある意味正しいが、プログラムやプログラマーをあえて挙げる必要はないだろう。

 これはそのとおり。
 議論がプログラマーとプログラムという文脈で行われていたから、そうなっただけの話。


 そしてなぜかよく分からないが、プログラマーは「自分たちには経済的な価値がある。 自分たちが作っている物には経済的な価値がある」と信じ込んでいる。
 そして、「その価値をきちんと対価に反映しなければ」などと言う。


 プログラムには経済的に価値がある? じゃあ山ほど作ればいいじゃん。
 プログラマーには経済的な価値がある? じゃあ山ほど雇えばいいじゃん。


 いやさ、世界中のプログラムを集めてきて、その中で「経済的な価値」を持つ(お金を払ってもらえる)プログラムはどのくらいだと思う?(本数ベースで)
 正確な数字は分からないが圧倒的に少数だろう。
 だったら大多数が例外になる考えよりは「ある条件下でプログラムは経済的価値を持つ」という考えのほうが妥当だろう。


 「価値がある」という前提で「価値を正しく対価」に反映させようともがくよりは、「価値が無い」ことを受け入れて「価値を持つ条件」を探る方がよっぽど意味があると思う。

*1:繰り返すが、財務会計的な負債ではない

やれやれ・・・ 一生しょっぱい客でも相手にしててくれ

 コストがかかるシステムは、それによりどんな巨大な利益を得ることができても

プログラムの価値(3) - suikyojin’s diary

 君のところのシステムは賃貸住宅のように放っておいても勝手に利益を生んでくれるのかい?
 非常にうまく作られたWebサービスはそれに近いかもしれない。

 だが、何度も繰り返すようにほとんどの場合、利益を生むのは人の活動であってシステムではない。
 システムはその活動に必要不可欠と判断される場合においてのみ価値を持つ。

 そしてその価値は次善の代替手段の価値を超えることは無い


 システムの価値はその時点での他の代替案によって間接的に決まるので、新たな代替案によって「いつでも無価値になる可能性がある」。
 これはシステムがたとえ要件通りに完成したとしても、その稼働前に「コスト0で要求を満たせる代替案」が現れた場合、システムの価値は0以下になるという意味だ。*1 たとえ開発に1億円かけていたとしても だ。


 ああ 言われそうなので先に書いておくが、「それだけがんばって作ったものなら他のことにも使えるかもしれない」ってのは無しね。
 それ言い出したら「この世にあるものは、将来に生みうる利益を考えたら無限大の価値がある」ことになってしまうからね。


 直接的に利益を生む仕組みは、よりよい代替案があろうともその価値が減ることは無い。
 一月に10万を生む賃貸住宅は、100万を生む賃貸住宅をもったとしても10万を生むことには変わりない。
 そうでないものはすべて「負債」だ。
 

経済学でいうところの限界効用逓減

プログラムの価値(3) - suikyojin’s diary

 こう言ってくると思ったから「「価値を正しく対価」に反映させようともがくよりは」と書いたんだがな。
 逓減もクソも元々の価値すら決められないだろ。 100万円かけてつくったら100万円の価値があるとでも言うのか?
 価値の逓減分やらコストの追いつき具合やら、そんなもの他人と共通認識を作ることがどれだけ大変だと思ってるんだ?
 だいたいそのような考え方や行動がいったい何の役に立つんだ?
 

 なぜ「システムは負債」などと言うかわかるか?
 エンジニアにとって良い客とは「システムは負債だと思っている企業」のことだからだ。 そういう企業は、

  • 機能の追加に消極的でスコープを広げることを極端に嫌がる。 それどころか「機能の削除」を積極的に評価する。 
  • 開発時から、システムを引き取って運用するイメージを持っている。(稼働後の問い合わせが極端に少ない)
  • 「作らない」からスタートしているから、作らなければならない理由が明確になっている。つまりシステムの目的がはっきりしている。
  • システムに対してではなく、それに込められたアイデアに対して対価を払う。
  • 必要な時期に、必要なものを提供できる体制に対して対価を払う。(価値を持つのは一瞬だと知っている)


 エンジニアが「システムは負債」という考えに同調できないなら、上記のような特徴を持った企業とつきあうことはできないだろう。

*1:お金を払ってもらえるかどうかは別